よなおしギターによる『しゃぼん玉』

sinya

2015年10月17日 12:08

今も昔も変わらず、子どもはしゃぼん玉が大好きですよね。

ウチの小学2年生の娘も、しゃぼん玉が大好きで。100均のお店に行ったりすると、500ml近くある大きなボトルのしゃぼん液を「欲しい!」と催促するわけです。
そんな大量のしゃぼん液も、2日もあれば無くなってしまいます。

その大量のしゃぼん液が無くなるまでに、いったいどれだけのしゃぼん玉が生まれて、消えていったのでしょうか・・・。


『しゃぼん玉』      作詞:野口 雨情   作曲:中山 晋平

大正11年『金の塔』に詩が掲載され、2ヶ月後に発刊された『童謡小曲』にてメロディが発表されています。

野口、中山といえば、童謡の黄金コンビです。

この黄金コンビにより、数多くの童謡が生まれました。『雨降りお月さん』『証城寺の狸囃子』『黄金虫』『あの町この町』などは、そのホンの一例です。
特に、作詞者の野口雨情(うじょう)の詩には、他に、本居長世、山田幸作といった一流の音楽家たちが曲をつけています。有名なところでは、『七つの子』『赤い靴』も雨情の作詞ですね。

なぜ、雨情氏の詩は、これほど歌い継がれているのか。

『童謡・唱歌の世界』の著者で言語学者の金田一 春彦氏は、その理由の1つに『できるかぎり言葉数を減らし、ぎりぎりの線で歌い上げる』ことが挙げられると書いています。

つまり、『シンプルな言葉で綴る』ことで、歌う側に考える余地があり想像をかきたてられ、様々な心情・感情を歌に投影することが出来るということでしょう。

例えば、雨情氏の作詞で『からすなぜなくの』ではじまる『七つの子』という有名な歌があります。
日本人でこの歌を知らない人を探す方が大変ではないかと思うほど、非常に有名な歌ですが、題名にもなっている『七つの子』に関して、未だにその明確な意味は分かっていません。

『七つ』が、『七羽』という意味なのか『七歳』という意味なのか、『子』が『からすの子』なのか『人の子』なのか、その他の諸説も加わり、未だに議論がなされています。

例えば、『赤い靴』という歌も、非常に有名ですが。この歌に関しての解釈も、長い間議論され続けてきましたね。

もともと『赤い靴』は、何か物悲しい雰囲気のする歌ですから、歌う人の想像が膨らむわけですが、特に『女の子』『行っちゃった』という言葉だけでも、今の私には胸がジンとしちゃうわけです。
いろいろな想像をかきたてられ、人々の心が動かされるからこそ、各地にこの歌を題材とした像などが立てられているのでしょうね。

ただ、この歌に関しては、発表から50年以上たって正確な事実関係が明るみになりました。それによると『女の子』は実在の人物で、その生涯は、あまりにも悲しいものでした。
この歌の詳しい解説は、ネットでも見られますし、合田道人著『伝え残したい 童謡の謎』や菊池寛著『赤い靴はいてた女の子』などを参考にして頂くと良いかと思います。

このように、雨情氏の詩は、シンプルな言葉で綴られているがために、歌う人の心をくすぐり続けるわけです。その詩の本当の意味は、永久に分からない場合が多いでしょう。だからこそ、飽きることなく歌い継がれていくんですね。
もちろん、雨情氏はある程度の思いを込めて詩を書いたのでしょうが、その詩の解釈は、歌う子どもたちの発想に託している感じがします。

『赤い靴』の『異人さん』という言葉、『異人』なんて言葉を知らない子どもたちは『イイじいさん』と勘違いする場合も多かったでしょう。かくいう私も、その内の1人です。

『異人さん』が『イイじいさん』になったのでは、この歌の意味が180度変わってしまいそうですが・・・それでも雨情氏なら『うんうん、それは楽しいね』と言ってくれそうな感じがします。

大人になってイロイロなことが分かってきた時、その発想を経験しているからこそ新しい発見ができ情緒的な成長が出来るのだと、そう思いながら詩を書いていたのではないか。

謙虚だったという雨情氏の人柄を考えると、そう勝手に想像してしまうわけです。


本題の『しゃぼん玉』ですが、この歌も、正にそんな想像をかきたてられる歌の1つです。

この歌は、非常に不思議です。子どもが歌う場合は、そのしゃぼん玉の楽しさも相まって、とても楽しく歌えます。
実際、この歌の子ども用の音源を聞くと、テンポが速く、いかにも楽し気な雰囲気がしますね。

ところが、この歌を大人になってから歌うと・・・なぜか物悲しい。特に、テンポをゆっくりにするだけで、明らかに子どもの時に感じていた印象とは違って聞こえるんです。

実は、この歌にもとても悲しい物語が隠されていると解釈する方もいらっしゃいます。

たとえその物語の事実を知らなくても、恐らく多くの大人が、この歌を聞き歌うと胸がジンとするのではないでしょうか。
もちろん、歌自体は何十年と変わっていません。変わったのは、歌う側の人間なんですよね。これが成長と言えるのであれば、『自分が成長した』ということを雨情氏が教えてくれたことになります。もっというなら、雨情氏の詩が自分を成長させてくれたのかもしれません。

これが雨情氏が残した『シンプルな言葉』のもつ力なんですね。


よなおしギターによる『しゃぼん玉』



今回は、音源だけになります。

しゃぼん玉のコロコロしてパチンパチンとはじける雰囲気を出すために、高音に音を集めてアレンジしてみました。

作曲者の中山氏の作る曲の特徴として、『ヨナ抜き音階を多用する』ことが挙げられます。

『しゃぼん玉』も、1ヵ所だけ <ファ> の音が入りますが、他は全てヨナ抜き音階で出来ています。

ただ、中山氏のもう1つの特徴が『同じ音を長く続けない』というものがあるそうです。つまり、音がコロコロと変わるということで、そのことで単調なメロディにならないという利点がありますが、演奏は少し難しくなってしまいますね。

よなおしギターでは、メロディを弾くだけでもオクターブフレットを多用しないといけないので、レベルは3になります。



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