2015年05月20日

沖縄音階

前回の記事にて、よなおしギターの奏法・活用法を箇条書きに列挙させて頂きました。
その中で、私自身も面白い!と思ったのが以下の2つの項目です。

・チューニングを変えることであらゆる『五音音階(ペンタトニックスケール)』を簡単に演奏することが出来る

・日本の『ヨナ抜き音階』のように特有の五音音階を持つ全ての国や地域の民族楽器として使える


もともとギターという楽器は、他の楽器に比べて圧倒的にチューニング(音合わせ)の自由度が高い楽器です。

定期的にプロ(調律師さん)によるチューニングが必要なピアノでは考えられないことですが、曲によって演奏者が様々にチューニングを変えることはギターでは当たり前のことなんです。

ギターでチューニングを変える理由にはいくつかあると思いますが、その1つが『その曲の独特の響きを簡単に出すため』ということがあります。
例えば、『ブルースを演奏する時にブルース独特の響きを簡単に出すためにチューニングを変える』なんてことが、当たり前のように行われます。

ここでポイントになるのが、『独特の響き』と『簡単』です。

よなおしギターも、もちろんそんなギターの特性を持っていますので。一般的なギターと同じように、チューニングを変えることで演奏できる曲の幅は広がっていきます。

ある意味、よなおしギター自体が『日本の童謡や唱歌の独特の響きを簡単に出すため』に生まれてきた楽器ですので。この『日本の童謡や唱歌の独特の響き』という部分を他のものに置き換えるためにはチューニングを変えれば良いことになります。

そうすることで、よなおしギターで『様々な国や地域の独特の響き』を再現できてしまうということになりますね。

という訳で。今日は、いくつかある日本特有の『五音音階』の中から、『沖縄音階』と言われる音階をチョイスしてみました。

つまり、よなおしギターを『沖縄の独特の響きを簡単に出すギター』にしてしまおうというわけです。

沖縄音階とは琉球音階とも言われます。やはりヨナ抜き音階と同じように5つの音から出来ている五音音階になり、構成音は以下のようになります。

沖縄音階とは<ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド>から<レ>と<ラ>を抜いた音階

沖縄音階の構成音→<ド・ミ・ファ・ソ・シ・ド>

この沖縄音階は、確かに『沖縄の独特の響き』を出すことが出来ますが。古来より歌い継がれてきた民謡、童謡や唱歌がヨナ抜き音階を意識して作られてきたわけではないのと同じで、沖縄音階も当然自然発生的に生まれてきたものでしょう。
さらに、沖縄の曲が全て沖縄音階だけで出来ているわけではないのも、民謡、童謡や唱歌がヨナ抜き音階だけで出来ているわけではないのと同じです。

つまり、ヨナ抜き音階にチューニングされたよなおしギターを使って童謡や唱歌の独特の響きを簡単に出して楽しむことが出来るのと同じような感覚で、よなおしギターを『沖縄音階』にチューニングすることで『沖縄の独特の響きを簡単に出して楽しむことが出来る』というわけです。

では、実際にやってみましょう。

まずチューニングですが、よなおしギターの基本的なチューニングはヨナ抜き音階ですから<ド・レ・ミ・ソ・ラ・ド>になりますね。
これを『沖縄音階』の<ド・ミ・ファ・ソ・シ・ド>に変えれば良いわけですから、以下のように各弦のチューニングをしていきます。

6弦→そのまま
5弦→1音上げて<ミ>に変える
4弦→半音上げて<ファ>に変える
3弦→そのまま
2弦→1音上げて<シ>に変える
1弦→そのまま

※チューニングは、チューニングメーターを使うことで誰でも直ぐに正確に行うことが出来ます。

では、実際に演奏してみましょう。
沖縄の古くからの曲というわけではありませんが、私も大好きな曲でどうしても演奏してみたかったので選びました。

BEGINさんの『三線の花』です。

三線(さんしん)とは、沖縄に古くから伝わる楽器ですよね。
この曲でBEGINの比嘉さんは、三線を弾きながら歌を歌っていますが、その音たるや凄いパワーですよね。何か、心にグサッと刺さる音、正に『琴線に触れる』とはこのことだと思います。

もちろん、沖縄音階にチューニングするとは言え、よなおしギターでは三線のこの独特の雰囲気を出すことは到底できません。ただ、メロディということに限れば、確かに『三線の花』の三線で弾いているメロディは簡単に弾くことが出来ます。

つまり、普通のよなおしギターで童謡や唱歌を弾くように、片手で弾ける部分が多いということです。

ただ、この曲に関しては、沖縄の独特の雰囲気とモダンな雰囲気が絶妙に絡み合っています。ここら辺がBEGINさんの凄いところであるわけですが。このモダンな部分の伴奏は『沖縄音階』だけでは演奏できませんので、左手をかなり使って和音を弾くことになります。

逆に言うと、『三線の部分は片手で簡単に、伴奏の部分は左手を使って和音を』というように、よなおしギター1台でメロディと伴奏がある程度は演奏できてしまうということでもあります。

つまり、よなおしギターとは『汎用性の高い伴奏楽器であると同時に、様々な地域の民族楽器でもある』ということが言えると思います。

もちろん、民族楽器として見た場合、各地の歴史に根差した楽器には遠く及びませんが。よなおしギター1台でさまざまに活用できるとなれば、その優位性は確かにあるのではないかと思うわけです。


『三線の花』 BEGIN

BEGINの30枚目のシングル。2006年10月25日発売。映画「涙そうそう」の挿入歌にもなりました。
歌詞とメロディが最高に心に染みます。正直、よなおしギターではその感動が全く再現できていません。


※メロディの演奏は機械で行っています。






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Posted by sinya at 10:20 │演奏動画